好きになった人は、みんなのアイドルで 2

ーー悠太郎サイド
「마지막 한 번, 실수 없으면 조금 일찍 퇴근이야.」
(ラスト1回、ミス無かったら今日はちょっと早く上がっていいよ)

「좋아! 다 같이 힘내자!」
(よっしゃ!皆ラスト頑張ろ!)

いつもより早く退勤できるかも。
紬ちゃんと電話できるのも、夢じゃない。

「유타로 기세 장난 아닌데?」
(悠太郎の気合いやばくない?)
「우리도 열심히 하자.」
(俺らも頑張るか)

ーー
「退勤!!今日こそ紬ちゃんに連絡する!」
ミス無く踊りきってガッツポーズをする。

「여자친구 때문이라고 그렇게 열심히 하는 거 웃기네.」
(彼女のためだと本気なのウケる)

「놀리지 마. 나 진심이거든.」
(からかうなよ、俺本気だから)
「가자~」
(帰ろーぜ)

ーー
風呂の順番じゃんけんにも勝利したので、早々と自由時間ができた。
すぐにスマホを開く。

「全然返信できなくてごめん」
「無理してないよ」
「忙しいけど、楽しい」
「紬ちゃんもちゃんとごはん食べてる?」

紬ちゃん、まだ起きてるかな。
ギリギリアウトかな……起きてるといいな……

通知が来る。パンのアイコンが並ぶ。

「練習おつかれさま」
「ごはん、ちゃんと食べてるよ」
「悠太郎くんもちゃんと食べてる?」

……紬ちゃんだ!起きてた!
スマホを見て一人でガッツポーズをする。

「起きてたんだ」
「今、ちょっと電話してもいい?」

すぐに既読がついて電話がかかってくる。
返事より先に電話かかってくるとか……同じ気持ちじゃん。

「もしもし、紬ちゃん」

グスッと鼻をすする音がして
「……悠太郎くん」と震える声がする。

……え。なんで、泣いてんの。

「待って、紬ちゃん泣いてる?」
「ごめん、俺が返信しなかったから」

「違うの。ごめん、声聞けて、嬉しくて」

……なんだ。そっちか。
……いや、返信無かったのも、不安にさせてたよね。

「俺も嬉しい」
「ごめんね、返信できなくて」

「大丈夫。忙しいの、分かってるから」

韓国に来てからまだ1ヶ月も経ってないのに、話が尽きない。
お互いの生活の些細な話を聞き合う。

リビングを覗きに来たドユンがニヤニヤして親指を立てる。
うるさい、あっち行け、とジェスチャーだけする。

「悠太郎、俺もう寝るけど」
碧が声を掛けに来る。

電話の向こうにも聞こえたのか
「あ、ごめん、もう切らなきゃだよね」
「話しすぎちゃった」
紬ちゃんがしょんぼりした声を出す。
声だけなのに、どんな顔をしているか分かる。
……かわいい。

「……紬ちゃん」

「ん?なに?」

「大好きだよ」

「……うん、私も大好き」

不安にさせてごめん。会えなくてごめん。
……韓国でデビューするなんて、夢を追い掛けて、ごめん。

「ごめん、これからも返信できない日あると思うけど、ずっと紬ちゃんのこと、考えてるから」
「……大好きだから、それだけは、信じて」

それだけは、伝えておきたかった。

「大丈夫、分かってるよ」
さっきまでとは違って、しっかりした声だった。

「……じゃあ、早く寝て」
「おやすみ」

「うん、電話してくれてありがと」
「おやすみ」

紬ちゃん、大好きだよ。
ロック画面の紬ちゃんにキスをする。

……俺、何やってんだ。寝よ。