好きになった人は、みんなのアイドルで 2

「最近、彼氏来ないね」
「そうなんです、忙しくしてて」

バイト中、ちらっとスマホを確認するけど悠太郎くんからの返事は無い。

「それでずっとスマホ気にしてるんだ」
「……あ、ごめんなさい、バイト中に」
「別に大丈夫だよ、今日は店長もいないし」

ーー
今日も悠太郎くんからの返信は無かった。

……大丈夫。忙しいの、分かってるし。
もう寝よう。起きてると寂しくなる。

スマホが光る。

「全然返信できなくてごめん」
「無理してないよ」
「忙しいけど、楽しい」
「紬ちゃんもちゃんとごはん食べてる?」

悠太郎くんだあ……。
返信が来ただけなのに、ちょっと泣ける。

……すぐに返したら、負担になるかな。

少し迷うけど、……無理。すぐに返したい。

「練習おつかれさま」
「ごはん、ちゃんと食べてるよ」
「悠太郎くんもちゃんと食べてる?」

すぐに既読がつく。

「起きてたんだ」
「今、ちょっと電話してもいい?」

……電話。
「いいよ」って返す時間すら惜しくて電話を掛ける。

「もしもし、紬ちゃん」

悠太郎くんの声が耳元でして、一気に感情が溢れる。
「……悠太郎くん」

「待って、紬ちゃん泣いてる?」
「ごめん、俺が返信しなかったから」

「違うの。ごめん、声聞けて、嬉しくて」

「俺も嬉しい」
「ごめんね、返信できなくて」

「大丈夫。忙しいの、分かってるから」
「……練習終わったとこ?」

「うん、ちょっと前に終わって、ごはん食べて、じゃんけん勝って風呂一番乗りだったから、風呂急いで入ってLINEした」

「そっか、じゃんけん勝ったのおめでとう」

悠太郎くんの声。心地良い。
張り詰めていた気持ちがほどけていくのが分かって、
あ、私、結構無理してたんだ、って気付く。

悠太郎くんの韓国の話。
私の大学やバイト先での話。

話題は尽きなくて、あっという間に時間が過ぎていく。

「悠太郎、俺もう寝るけど」
碧くんの声がする。

「あ、ごめん、もう切らなきゃだよね」
「話しすぎちゃった」

「……紬ちゃん」

「ん?なに?」

「大好きだよ」

「……うん、私も大好き」

少し間があって
「ごめん、これからも返信できない日あると思うけど、ずっと紬ちゃんのこと、考えてるから」
「……大好きだから、それだけは、信じて」

……疑うわけないじゃん。

「大丈夫、分かってるよ」
「……じゃあ、早く寝て」
「おやすみ」

「うん、電話してくれてありがと」
「おやすみ」

電話が切れて、また無音の部屋が戻ってくる。
……でも大丈夫。私たち、繋がってる。