好きになった人は、みんなのアイドルで 2

「じゃあ、行ってらっしゃい」
「うん、行ってきます」

目が合うと、「キスは我慢するから」と呟く悠太郎くん。
「うん、ダメだよ」と笑うと
頭をぽんっとして、また「行ってきます」と言う悠太郎くん。
「行ってらっしゃい」って手を振る。

悠太郎くんがもう一度振り返って手を振る。
私も大きく振り返す。

悠太郎くんのリュックには、
初めてのデートで買ったお揃いのイルカのキーホルダーが付いている。

今度は、2ヶ月くらい帰ってこない。
寂しいけど、私の代わりにひよこ色の練習着が悠太郎くんを支えてくれるはず。

ーー
「おはよ、栞」
「おはよう、彼氏見送りサボり女」
「変なあだ名つけないでよ」

悠太郎くんを見送りたくて、授業を1個サボった。
……悠太郎くんには内緒。

「寂しいね、今度は長いんでしょ」
「うん、2ヶ月くらい。でもきっとあっという間だよ」

あっという間だよ。
自分に言い聞かせるように言った。

寂しくても、私は私の生活をする。
それが、一番の応援になる気がする。

悠太郎くんがいないとボロボロになる自分じゃダメだ。
ちゃんと、支えられるくらい、強くならなきゃ。

「彼氏見送りサボり女にさっきの授業のノート見せて!」
栞は「仕方ないな〜」と笑ってノートを貸してくれた。