好きになった人は、みんなのアイドルで 2

「明日、日本に帰るよ」
悠太郎くんからLINEが来る。

「じゃあ空港まで迎えに行く」
「もし良かったら、一緒にご飯食べたい」

「いいね、ご飯食べよ」

「何が食べたい?お店考えとく」

「わがまま言ってもいい?」

「なに?」

「紬ちゃんのご飯食べたい」

……これ、結構嬉しいかも。
美味しいご飯なんてたくさんあるのに、それよりも私のご飯?

「分かった」
「張り切って用意しとく」

ーー
空港で待っていると、遠くに手を振ってる人がいる。
……あれ、悠太郎くんじゃん。あんなに遠くからみつけたの。
大きく手を振り返す。

隣のご夫婦にちらっと見られて微笑まれる。
……あ、やだ、恥ずかしい。

「紬ちゃん、ただいま」
「おかえり、悠太郎くん」

隣のご夫婦は碧くんのご両親だった。
「いつも碧がお世話になってます」
碧くんのご両親と悠太郎くんがお話している。

「悠太郎、韓国でも紬さんの話ばっかりでしたよ」
ぼそっと碧くんが言う。
「……え?」
「ひよこタオル、めっちゃ愛用してました。あ、あと行くとき手紙読んで大号泣してました。セーターも自慢されました」

「ちょっと、碧!紬ちゃんになに話してんの」
「ん、悠太郎の近況報告」

碧くんと悠太郎くん、ほんとの兄弟みたい。

「じゃ」と碧くんがご両親と帰っていく。

「俺たちも行こ」
「うん、今日のご飯も楽しみにしてて」
「やばい、なんだろ。楽しみ」

手を繋いで駅に向かう。

「手紙読んで泣いたの?」
笑いながら聞くと
「ばか、碧、あいつ」
と悠太郎くんが照れる。

「泣くほど嬉しかった?」
「うん、嬉しかった。紬ちゃんの気持ち、伝わった」

不意に悠太郎くんが立ち止まる。
……どうしたの?
振り返ると、キスをされた。

「……人前でやめてよ」

「紬ちゃん、ただいま」