好きになった人は、みんなのアイドルで 2

「お!碧!」
悠太郎くんが駆け寄る。

「はじめまして、碧です」
碧くんが挨拶してくれる。
「は、はじめまして、紬です」

「悠太郎と、デビューしてくるんで」
年下だって聞いてたけど、しっかりしてる。
真っ直ぐな瞳に少し動揺してしまう。

「紬ちゃん、行ってくるね」
頭にポンと手を置かれる。

「うん、行ってらっしゃい」
「碧くんも、気を付けて」

碧くんはペコッとお辞儀をしてゲートに向かう。
碧くんの後ろを着いて行った悠太郎くんが、戻ってくる。

「なに?どうかした?」
言い終わらないうちに唇を塞がれる。

「……忘れ物した」
笑って手を振る悠太郎くん。

……なにそれ、ずるい。
行かないでって、思っちゃうじゃん。

悠太郎くんが見えなくなるまで、泣くのは我慢した。
行ってらっしゃい。応援してるよ。

悠太郎くんが見えなくなっても、しばらくその場を動けなかった。