好きになった人は、みんなのアイドルで 2

ーー悠太郎サイド

くつろいでいると、
「見てもいい?」
って紬ちゃんが本棚を指さす。
「いいよ」
ちょっと、恥ずかしい。

ニコニコして紬ちゃんが見ているから、照れ隠しに説明をする。
「これは俺が出た番組からデビューしたグループのCD。REOくんがサイン入れてくれたの」
NEONのCDを見せる。
「ほんとだ、サイン入ってる!」
「これは俺が好きな映画、あとお菓子のレシピ本」
ふーん、そうなんだ、と興味津々で見ている紬ちゃんが可愛い。

……え、待って、なんか近くない?

(キスしたい)
唐突に思い浮かんで、いやそれはダメだろと焦る。

紬ちゃんが顔を上げて、目が合う。
「あ……ごめん」
赤くなる紬ちゃん。ごめん、俺もう無理。

「紬ちゃん、ごめん……キスしていい?」
こういうのは、グイッと唇を奪う方がかっこいいのかもしれないけど、俺にはそんなことはできない。

心臓の音がうるさい。
こんなに近い距離で、紬ちゃんの顔を見るのは、初めてだ。

「……いいよ」
小さく紬ちゃんが言う。

ゆっくりと顔を近付けて、唇に触れる。

時が止まる。 何も考えられなくなる。

永遠のような一瞬の後、またそっと唇が離れる。

唇が離れても、まだ距離は近いまま。

「……ごめん、我慢できなかった」
つい照れて笑ってしまう。
「ううん、嬉しかった」
……そっか、嬉しかったんだ。良かった。

顔を見合せて、少し笑った。
紬ちゃんの唇は、柔らかかった。