好きになった人は、みんなのアイドルで 2

「あ、コートちょうだい」
「うん、ありがと」

なんだかぎこちなくなってしまう。

「ここに荷物置いていいよ。こっち洗面所だから、手洗って。……そしたら、こっち座ってて。」
「うん、ありがと」

悠太郎くんが、私の家にいる。
やばい、緊張する。
私も手を洗って昼ごはんの支度をする。

「はい、どうぞ」
「わ、初めて食べる。美味しそう。」

じゃじゃ麺の食べ方を説明してあげる。
1口食べて、「ん、美味い」と悠太郎くんが言う。

「あ、ほんとー?良かった。あんまり好きじゃないって言う人もいるからドキドキした」
「え、めっちゃ好き。美味い。このなますも浅漬も美味しい。作ったの?」
「そう、なますは実家でお母さんとつくった」
「紬ちゃんの料理上手はお母さんの影響なわけだ」

そうかな、と少し照れる。
次はもっと、手の込んだ料理、食べてほしいな。

「ちょっと残してね、卵スープにして食べるの」
ちーたんたんにして、持っていくと、
「え、これもうまー」と満足そうな悠太郎くん。

「紬ちゃんの地元の味、知れて嬉しい」
「美味しいものたくさんあるよ。盛岡冷麺とか」
「それは知ってる。焼肉屋行ったら絶対食べる」
「ほんと?嬉しい。盛岡の人はねー、焼肉食べずに冷麺だけ食べることもあるんだよ」
「まじ?そんなことある?」

地元の話をするのも、なんだか楽しい。

「ね、悠太郎くんの地元の話も教えて」

久しぶりなのに、久しぶりな気がしなくて、悠太郎くんといると落ち着く。
緊張なんていつの間にか忘れて、笑い合っていた。