好きになった人は、みんなのアイドルで 2

「ただいまー」
真緒とたっぷり話して帰ってくる。
「おかえり、真緒ちゃん元気だった?」
「うん!元気だった!」
真緒とは幼なじみなので、お母さんも承知の仲。

ーー
紅白を見ながらご飯を食べる。
朝比奈家のいつもの大晦日。

東京で元気にやってんの?ご飯は食べてる?勉強もしっかりしてる?
と質問攻めにしてくるお母さんに適当な返事をしながらスマホを見る。

悠太郎くんからLINE
「実家でゆっくりしてるー?」
「今、家族で紅白見てる」

「ほんと?うちも同じ」
「悠太郎くんもゆっくりしてるー?」

LINEを返して顔を上げるとお母さんが「彼氏だ」って言ってくる。
「ねえ、お父さん、紬彼氏できたんだってよ」
「お父さんにまで言わなくていい!」

お父さんは内心複雑なのか「ふーん」と知らんぷり。

「彼氏も帰省中?」
「うん」
「どこの人なの?」
「兵庫だって」
「あらやだ、都会の人だ。紬は田舎者だからねえ、大丈夫かなあ」
「……失礼だなあ。私もすっかり東京に馴染んでますよ」

カウントダウンが始まる。
5、4、3、2、1、
……𝖧𝖺𝗉𝗉𝗒 𝖭𝖾𝗐 𝖸𝖾𝖺𝗋!

すぐにLINEを開いて悠太郎くんに
「明けましておめでとう」
「今年もよろしくね」
と送ると同時に既読がついて
「明けましておめでとう」
「今年もよろしくね」
と送られてくる。

ねえ、まったく同じ文面。真似しないで。
笑いながら、今年もきっと良い年になると思えた。