好きになった人は、みんなのアイドルで 2

「真緒!久しぶりー!」
「むぎ!久しぶり!」

真緒(まお)は地元の幼なじみで、
今は地元の医大で医者を目指して勉強している。
私のことを"むぎ"と呼ぶ唯一の存在。

ランチをしながら、近況報告に花が咲く。

「むぎ、東京行って綺麗になったんじゃない?彼氏できた?」
「……できた」
「聞きたい聞きたい。同じ大学?」
「うん、同じ大学の1年生。年も一緒。」
「かっこいい?」
「めっちゃかっこいい!こないだ駅で女子高生に芸能人かな?って言われてた」
「なにそれ見たい!写真無いの?」
「……ある」

水族館にふたりで行った時の写真を見せる。

「え、これは、相当かっこいいね?」
「相当かっこいいの」
「ほんとに芸能人とか?」
「……違うんだけどさ」
「けどさ?」
「アイドル目指してるんだよね」
「え!アイドル!?」

(……真緒は、なんて言うだろう)
(ちょっと怖いけど、真緒の意見なら聞きたい)

「……どう思う?アイドル目指してるの。」
「本気で目指してて、練習頑張ってるところも含めて好きなんだけど……」
「お母さん、心配するかもって思って、言えなかった」

「私は、むぎが良いならそれで良いと思う」
「アイドルのこととかよく分かんないけど、夢追ってるの支える間も、……デビューしてからも、きっと大変じゃん」
「それでも好きなら、良いと思う」

「……うん」
「次帰ってきた時には、お母さんにも言いたい」

悠太郎くんの夢、本気で応援してるつもりなのに
お母さんに言えなかったの、なんだか後ろめたかった。
でも、私は本当に悠太郎くんのことが好き。
真緒と話して、自分の気持ちがちゃんと分かったような気がした。