好きになった人は、みんなのアイドルで 2

「今年1年お世話になりました」
「悠太郎くんに出会えて最高の1年でした」
「……俺も、紬ちゃんに出会えて良かった」

バイバイと手を振って別れる。
次に会えるのは年が明けてから。
寂しいな、と思いながら、見えなくなるまで背中を見送った。

ーー
「お父さん、迎えありがと」
「荷物多いと思ったから」

駅までお父さんが迎えに来てくれた。
……地元の空気はやっぱり落ち着く。
(悠太郎くんにも、いつか来てほしいな)

「ただいまー」
「おかえり、紬。うん、元気そうね」
「元気だよ、ありがとお母さん」

ーー
お母さんが夜ご飯の支度を始める。
「ねえ、手伝ってもいい?」
「なにー、休んでればいいのに」
「いや、お母さんの味、覚えたいなと思って」
「あ、分かった、胃袋掴みたい男ができたんだ」
「ち、ちが……!」
顔が赤くなるのが分かる。
お母さんには全部バレてるんだ。
今度、悠太郎くんに手料理食べさせたいなって思ってた。

「どんな子なの?」
彼氏がいる前提で聞いてくる。
「や、彼氏、いるとか言ってないじゃん」
「まだ付き合ってないの?」
「……付き合い始めたばっかり」
お母さんには全部見透かされてる気がして正直に喋ってしまう。

「で、どんな子なの?顔はかっこいい?優しい?同じ大学の子?年は?」
「待って待って質問多すぎ。……顔はかっこいいよ。とっても優しい。同じ大学で同い年。」
「……紬、その子のこと好き?」
「うん、大好き。大好きだし、尊敬もしてる。」
「紬がそう言うならいい子だ。お母さんも安心。」

まだまだ先のことになると思うけど、お母さんにも会ってほしい。
悠太郎くんね、とっても素敵な人なんだよ。

……言おうか迷ったけど、
彼氏はアイドル目指してる人って言ったら
不安になるかもと思って、まだ言えなかった。