全部奪われた私を拾ったのは極道でした

 古びているのに、どこか威圧感がある

要:「ああ」

 短く答えて、先に降りる

 柚葉も、恐る恐る車を降りた

 視線が、突き刺さる

 入口付近にいた男たちが、一斉にこちらを見る。

組員A:「……要さん」

 軽く頭を下げる男たち

 その様子で分かる

 この人は、ただの人じゃない

柚葉:「……っ」

 足がすくむ

要:「気にすんな」

 振り返らずに言う

要:「ついて来い」

 その一言だけで、不思議と動けた

 中に入ると、さらに空気が変わる

 煙草の匂いと、低い声

 怖いはずなのに――

 外にいた時より、少しだけ安心した