全部奪われた私を拾ったのは極道でした

 要「……そんな顔で、ここに座るな」

柚葉「……っ」

ゆっくり顔が上がる

涙で濡れた目

壊れかけた表情

要「……」

その瞬間

ほんの一瞬だけ、昔の記憶がよぎる

守れなかった誰か

要「死にたい顔してる」

柚葉「……」

要「けどな、まだ死ぬな」

口に出してから、自分で少し驚く

こんな言葉、普段なら言わない

要(……らしくねぇ)

それでも

目の前の少女から、目が離せなかった

手を差し出す

要「立てるか」

柚葉「……」