全部奪われた私を拾ったのは極道でした

 夜

雨が、静かに降っていた

要「……」

煙草の火が、小さく揺れる

仕事帰りの道

いつもと変わらないはずの夜だった

ふと、視線の先に影が見えた

地面に座り込む、小さな背中

要「……」

見過ごすつもりだった

こういうのは、珍しくない

関わる理由もない

でも

足が止まった

要(……なんだ)

理由が分からない

ただ、そのまま通り過ぎることができなかった

近づく

俯いたまま動かない少女

肩が、かすかに震えている