全部奪われた私を拾ったのは極道でした

 廊下に響く声が、耳にこびりつく

莉愛「ねぇ、お姉ちゃん。いるんでしょ?」 

柚葉「……っ」

体が動かない。逃げたいのに、足がすくむ

莉愛「迎えに来てあげたんだから、出てきてよ?」

柚葉「……なんで……ここに」

扉の前で立ち尽くす

心臓の音がうるさい

その時――

要「出るな」

柚葉「……っ」

振り返ると、要さんが立っていた

柚葉「でも……」

要「いいから、ここにいろ」

低く、迷いのない声

柚葉「……はい」

小さく頷く

要さんはそのまま背を向けて歩き出す

柚葉は、その背中を見つめることしかできなかった



扉が開く音