全部奪われた私を拾ったのは極道でした

 ――どうして、こうなったんだろう

 教室の窓際、一番後ろの席

 柚葉はぼんやりと外を見つめていた

 春なのに、心はずっと冷たいまま

 笑い声が、遠く感じる

女子生徒:「ねぇ、柚葉(ゆずは)。ノート貸して?」

柚葉:「……うん」

 小さく頷いて、何も言わずに差し出す

 断れない

 ――断ることが、怖い

 昔からそうだった

母「柚葉はお姉ちゃんなんだから、我慢しなさい」

 その言葉が、ずっと頭から離れない

 放課後

 柚葉は鞄をぎゅっと握りしめた

 今日は、約束があった

 ――彼氏と帰る約束

 それだけが、唯一の救いだった

 でも、その“救い”は一瞬で壊れた

 廊下で見つけた、見慣れた背中