Something Blue


日誌を手早く仕上げて職員室に提出してから、昇降口で待っていた緋由と合流する。

「アリーナ席くたばれー」

靴を履き替えながら、緋由は本日何度目かのアリーナ席愚痴をこぼす。

「何回言ってんねん」

「寝れへんし、内職もできひんし、先生に当てられまくるし、こんなクソ席嫌やー」

来世は日和の席にしてくださーい、と某アニメ映画のセリフみたいなことを言う緋由の頭を、僕は軽く叩く。

「そもそも寝るのも内職もダメやろ」

「この前の現国で英コミュの提出物やってた日和に言われたくないわ」

織宮さんと一緒に帰って、気まずくなって置いていってしまったあの日のことだ。

「俺はもはや開き直って提出しないからな」

さらっととんでもないことを言い放つ緋由に、思わず口を開いてしまう。

「そっちの方がやばいやろ。留年すんで」

「…留年はやばいな」

しばらく2人でとりとめもない話をしていると、「俺こっちやから、また明日」と緋由が立ち止まって住宅街の方を指差した。

「また明日!」

自転車に乗って走り去っていく緋由の後ろ姿に軽く手を振り、僕は駅に向かう。


「笠原くん!」


俯き加減に歩いていると、誰かの声が僕を引き留めた。