「Daily Questionのプリント全員配られましたかー?」
論理表現の女性教師・藤田が、教卓に手をついてぐるりと教室を見渡す。
「えー、じゃあDaily Questionの内容をペアで聞きあってみましょう。縦でペアになってー」
その指示に、前の席の女子――織宮結羽が振り返る。
彼女の真っ黒なミディアムヘアが揺れ、意思の強そうな切れ長の一重が僕の姿を映す。
その瞬間、教室に満ちるガタガタと椅子が動く音が遠ざかる。
「えーっと…よろしくお願いします」
彼女――織宮さんが若干下を向きながら、口角をわずかに上げる。
「よろしく…」
体の奥から熱が湧くような感覚に戸惑いながら、僕の中の全勇気を振り絞って織宮さんの目をしっかりと見据える。



