近くにいるための嘘

「ねえ美桜、なんか悠太郎くんと仲良さそうに話してる子いたんだけど」
「でも見たことない子だった。誰だろ」

陽菜と芽依が教えてくれる。

「……髪長くて、大人しそうな子?」

「あー、そうそう」
「さすが姫、悠太郎くん周りの情報早いね」

「……抜け駆け、しないでほしいよね」

意地悪な言葉が口から出てきて驚く。
皆の悠太郎くん、だけど、私の悠太郎くん、でもない。

「そうだよ、悠太郎くんには姫いるし」
「しゃしゃりでないでほしいよねー」

こういう時は陽菜と芽依の軽さが嬉しい。

「……むかつく。抜け駆け禁止って言ってこようかな」

冗談で言ったら気持ちが軽くなるかと思ったけど、
もっと嫌な気持ちになっただけだった。