近くにいるための嘘

「ねえ、まだそんな髪してたの?」
「ママ、美桜ちゃんが心配」

そう言われるの分かってたから、実家に帰るの嫌だった。

「これ、気に入ってるの」

……だって、この髪色なら、悠太郎くんがどこにいても見つけてくれるから。

「そんなギャルみたいな感じじゃなくて、もっと……」

「うるさい、誰にも迷惑かけてないでしょ」
「就活の時には黒くするから」

ママの話を遮ってしまう。

……なんで分かってくれないの。
地元を出て良かった。東京は自由だ。

「友達とランチ行ってくるから」

「美桜ちゃん、気を付けてね」

ママが鬱陶しかった。
この髪色は、絶対やめない。