近くにいるための嘘

「お姉さん、今度飯行ってください!」

「ごめんなさい、そういうのは」

6月からカフェのバイトを始めた。
制服が可愛いし、まかないも美味しいし、バイト仲間も良い人ばっかりだけど、
こうやって男性に声を掛けられることがめちゃくちゃ多い。

「1回だけ!あ、じゃあ名前だけ教えて」

「そういうの、ごめんなさい」

ほんと、しつこい。

「うちの姫はそういうのお断りなので」
「帰らないと出禁にしますよ」

先輩が追い払ってくれる。

「……ありがとうございます」

「じゃあ姫、お礼に俺と飯行って♡」

「……さっきの人と同じじゃん」

「くーっ!姫冷たい!でもそこが魅力的っていうか」

助けてくれたのは感謝するけど、男の人とか興味無い。
……だって、悠太郎くんよりかっこいい人なんていないもん。

悠太郎くん、今頃レッスン頑張ってるのかな。
会いたいな。
……夏休み、つまんない。

早く大学、始まったらいいのに。