近くにいるための嘘

「美桜ちゃん、おはよ」

「……おはよ」

恋の自覚と、失恋を同時にするなんて、人生は残酷だ。
それでもどうしようもなく、悠太郎くんはかっこいい。

「どした?元気無いね」

今すぐ飛びついて、
悠太郎くんのせいだよ、なんて言っても、
私のことを見てくれるわけじゃない。

「んー、ちょっと寝不足」
確かに寝不足ではある。全然眠れなかった。

「そっか、無理しないでね」
微笑む悠太郎くんが、初めてちょっと憎い。
無理しなかったら、今日大学になんて、来れなかった。

「もうすぐ夏休みでしょ?何するの?」
腕を絡める。
ねえ、お願い、私を見てよ。

「んー、レッスン漬けかな」
「つまんなくてごめん」
悠太郎くんの話、つまらないことなんてないよ。
……知ってるでしょ、私、悠太郎くんのこと全部好きで。

「そっか、無理しないでね」

「うん、ありがと美桜ちゃん」

悠太郎くんと話しているのに、なんだか泣きそうで。
夏休みでしばらく会えないことに、ほっとしている自分もいた。