近くにいるための嘘

トイレの個室で、ひとしきり泣いた。
誰かに聞かれるのなんて、気にしてられなかった。

……知らなかった。
私、とっくに悠太郎くんのこと、好きになってた。
もう、推しなんかじゃなかった。

悠太郎くんが紬ちゃんを見た時の顔が忘れられない。

……ずるい。
紬ちゃん、ずるい。ずるい、ずるい。

私も、あんな顔で悠太郎くんに見つめられたかった。
本当の意味で、悠太郎くんの特別になりたかった。

私の方が、先に好きになったのに。
私の方が、色んな悠太郎くんを知ってるのに。

そんなことを考えても意味が無いのに、やめられなかった。
考えれば考えるほど、紬ちゃんがずるかった。