近くにいるための嘘

「ごめん!明日の授業の宿題って何ページまで?」
悠太郎くんからLINEが来る。

……推しと、LINE。
ただ範囲を教えるだけなのに、どんな文面にしようとか、考えちゃう。

「31ページまでだよ」

すぐに既読がつく。

「助かった!」
「美桜ちゃん、ありがと」

……たったこれだけなのに。
ドキドキするには十分だ。

「今からやるの?」
「結構時間かかるよ 笑」

LINEを終わらせたくなくて、しょうもないことを送ってしまう。

「まじ?」
「美桜ちゃんもうやったなら見せて🙏」

「仕方ないな〜」

嘘。全然、仕方なくなんてない。
推しのためなら、なんでもする。
……なんでも、は言い過ぎかもしれないけど。

ノートの写真を撮って送ると、またすぐに既読がつく。

「美桜様!ありがとう!」
「明日お礼にお菓子持ってく!」

明日、悠太郎くんと話せる。
それだけで十分私にとってはご褒美だよ。

「やったー!」
うさぎが手を挙げて喜ぶスタンプを送る。

また明日ね、とひよこのスタンプが返ってくる。

……幸せ。
だって、皆は、悠太郎くんのLINEなんて知らないでしょ?