「サークルのお金でパン買い放題とか最高すぎる」
莉子のテンションが上がっている。
今日は、パン研の集まりの日。
パン屋で買ったパンとか、作ったパンとか、持ち寄って皆で食べるらしい。
莉子に付き合って駅前のパン屋に来ているけど、
正直私は莉子みたいにパン屋でテンションが上がらない。
……地元のパン屋も、素朴で美味しかったし。
あのおばちゃんのあんぱん、また食べたい。
ーー
「おつかれさまでーす!」
「え!駅前で買ってきたの!?有名なとこじゃん!」
「莉子ちゃんナイス!」
先輩たちのテンションが上がる。
なんか有名なパン屋だったらしい。
ふーん、入るサークル間違えたかな。
パンひとつでそんなにテンション上げられない。
「……良かったらどうぞ」
「あの、塩パン焼いてきたんです」
最初の自己紹介の時に隣に座ってた子が、パンを持ってきてくれる。
「あ、こないだ隣に座ってましたよね」
「……紬ちゃん、でしたっけ?」
「え!覚えててくれてありがとうございます」
「美桜ちゃん、ですよね」
「ありがとう、いただきます」
……待って。めっちゃ美味しい。
「……これ、自分で作ったの?」
「めっちゃ美味しい」
待って、こんなに美味しいパン食べたの初めてかも。
うそー、ちょっと感動。
これはパンひとつでテンション上がるわ。
「ありがとうございます」
紬ちゃんが照れてる。控えめな子なんだな。
こんなパン焼けるなら、もっと自慢したらいいのに。
ーー
最初はパンの話ばっかりだったけど、そのうちだんだん雑談になる。
「ねえ、なんか経済に有名な子入ってきたんでしょ?オーディション番組出てたとかって」
先輩が悠太郎くんの話をしてくる。
……ここにも、ミーハーな女たちがいたか。
「そうなんです!見ました?かっこいいですよ」
莉子までさあ。なんでそういうこと言うの。
「私 同じ学科なんですけど、まじで王子様ですよ。名前とかすぐ覚えて呼んでくれるし、優しくて物腰柔らかくて、いつもニコニコしてて、ほんとどこの国の王子様って感じで」
パンのことは分からなくても、悠太郎くんのことならいくらでも語れる。
「皆 悠太郎くんのこと大好きだよね、皆の悠太郎くんって感じ」
少し皮肉を込めて言ってしまう。
……なんか、今の私、嫌な感じだったかも。
「えー、狙ったりしないの?」
先輩が聞いてくる。
「全然そういう感じじゃないです、ほんと。皆ファンって感じ」
「本人も多分彼女とか作る気無いんじゃないですかねー」
……知らないけど。
でも、アイドルだし。
彼女とかできたら、嫌だから。
「そういう感じなんだー」
少し残念そうな先輩たち。
「だから安心して推せるっていうかー」
べらべらと適当なことを喋ってしまう。
そんな理由で推してるわけじゃないのに。
「そう、既にアイドルだよね」
莉子がパンを食べながら相槌を打つ。
「うん、アイドル。ほんとにかっこいいんです」
……だから、何も知らないのに悠太郎くんを消費しないで。
「ほんとにかっこよくて、高校の時からずっと推してて」
胸がぎゅっとなる。 皆が知るずっと前から、私は悠太郎くんを推してた。
「え、高校の時からの推しと現実で出会ったの?」
「なにそれ、漫画みたい」
先輩たちがキャーッと声を上げる。
「美桜ちゃん、悠太郎くんのことめっちゃ好きなんだね」
先輩が笑って言うから
「好きとかじゃなくて、推しです」
「……推し。人生で初めてできた、推しなんです」
なんだか、ムキになってしまった。
莉子のテンションが上がっている。
今日は、パン研の集まりの日。
パン屋で買ったパンとか、作ったパンとか、持ち寄って皆で食べるらしい。
莉子に付き合って駅前のパン屋に来ているけど、
正直私は莉子みたいにパン屋でテンションが上がらない。
……地元のパン屋も、素朴で美味しかったし。
あのおばちゃんのあんぱん、また食べたい。
ーー
「おつかれさまでーす!」
「え!駅前で買ってきたの!?有名なとこじゃん!」
「莉子ちゃんナイス!」
先輩たちのテンションが上がる。
なんか有名なパン屋だったらしい。
ふーん、入るサークル間違えたかな。
パンひとつでそんなにテンション上げられない。
「……良かったらどうぞ」
「あの、塩パン焼いてきたんです」
最初の自己紹介の時に隣に座ってた子が、パンを持ってきてくれる。
「あ、こないだ隣に座ってましたよね」
「……紬ちゃん、でしたっけ?」
「え!覚えててくれてありがとうございます」
「美桜ちゃん、ですよね」
「ありがとう、いただきます」
……待って。めっちゃ美味しい。
「……これ、自分で作ったの?」
「めっちゃ美味しい」
待って、こんなに美味しいパン食べたの初めてかも。
うそー、ちょっと感動。
これはパンひとつでテンション上がるわ。
「ありがとうございます」
紬ちゃんが照れてる。控えめな子なんだな。
こんなパン焼けるなら、もっと自慢したらいいのに。
ーー
最初はパンの話ばっかりだったけど、そのうちだんだん雑談になる。
「ねえ、なんか経済に有名な子入ってきたんでしょ?オーディション番組出てたとかって」
先輩が悠太郎くんの話をしてくる。
……ここにも、ミーハーな女たちがいたか。
「そうなんです!見ました?かっこいいですよ」
莉子までさあ。なんでそういうこと言うの。
「私 同じ学科なんですけど、まじで王子様ですよ。名前とかすぐ覚えて呼んでくれるし、優しくて物腰柔らかくて、いつもニコニコしてて、ほんとどこの国の王子様って感じで」
パンのことは分からなくても、悠太郎くんのことならいくらでも語れる。
「皆 悠太郎くんのこと大好きだよね、皆の悠太郎くんって感じ」
少し皮肉を込めて言ってしまう。
……なんか、今の私、嫌な感じだったかも。
「えー、狙ったりしないの?」
先輩が聞いてくる。
「全然そういう感じじゃないです、ほんと。皆ファンって感じ」
「本人も多分彼女とか作る気無いんじゃないですかねー」
……知らないけど。
でも、アイドルだし。
彼女とかできたら、嫌だから。
「そういう感じなんだー」
少し残念そうな先輩たち。
「だから安心して推せるっていうかー」
べらべらと適当なことを喋ってしまう。
そんな理由で推してるわけじゃないのに。
「そう、既にアイドルだよね」
莉子がパンを食べながら相槌を打つ。
「うん、アイドル。ほんとにかっこいいんです」
……だから、何も知らないのに悠太郎くんを消費しないで。
「ほんとにかっこよくて、高校の時からずっと推してて」
胸がぎゅっとなる。 皆が知るずっと前から、私は悠太郎くんを推してた。
「え、高校の時からの推しと現実で出会ったの?」
「なにそれ、漫画みたい」
先輩たちがキャーッと声を上げる。
「美桜ちゃん、悠太郎くんのことめっちゃ好きなんだね」
先輩が笑って言うから
「好きとかじゃなくて、推しです」
「……推し。人生で初めてできた、推しなんです」
なんだか、ムキになってしまった。


