近くにいるための嘘

今日から授業が始まる。
……悠太郎くんに、会えるかな。

「あ、美桜ちゃんおはよ」
「美桜ちゃんのピンク髪、遠くからでも見つけられる」

……初日の朝から推し。刺激が強い。
しかもなに?遠くから私のこと見つけたの?
ピンクの髪にして良かった!

「悠太郎くんの金髪も、結構目立つよ」

心の中では大騒ぎなことを隠して、悠太郎くんを見上げる。

……ベストカップル。
急に陽菜と芽依の言葉を思い出す。

やばい、カップルに見えちゃうかも。

「悠太郎くんってさ、彼女いる?」
小首を傾げて聞いてみる。

「いないよ」

「そっか、アイドルだもんね」

……この顔で、彼女いないんだ。
素知らぬ顔して答えるけれど、心の中では大騒ぎ。

「じゃ、俺あっち座る」

「うん、またね」

教室に入ってそれぞれの友達のところへ向かう。

「ベストカップル、一緒に登校ですか?」
陽菜にからかわれる。

「……もう。からかわないでよ」
実は、満更でもなかった。

悠太郎くんの隣、ドキドキした。
隣にいたいと、思ってしまった。