近くにいるための嘘

「ねえ、朝倉くんのこと調べたよ」
「めっちゃすごいじゃん、アイドルじゃん」
翌日、莉子と学食で会うとすぐに言われる。

「うん、アイドルなの」

「そりゃ美桜もあざとくなるわけだ」

「ねえ、それ褒めてる?」

「うん、めっちゃ褒めてる」

「それならいいんだけど 」
褒めてるなら、勉強の成果を発揮しなくちゃ。

「あ、美桜ちゃんだ」
上から声が降ってくる。

「悠太郎くん」
上目遣いで、目を合わせる。
「悠太郎くんも、履修登録やりに来たの?」
腕を触る。よし、さりげないボディタッチ。

「うん、そう」
「あっちに友達いる。またね」

「またね」
目を合わせてにっこり微笑む。

……どう?あざとかった?

「美桜、昨日よりもパワーアップしてる」
莉子が笑う。

「ふふ、勉強した」

「勉強?天然であざといでしょ、美桜は」

推しの瞳に、どうやってでも映りたかった。
あざとかったら、私のこと見てくれる?