近くにいるための嘘

「橋本莉子です」
「好きな食べ物はパンです」
「オススメのパン屋教えてくださーい」
「よろしくお願いします」

前の金髪の女の子の自己紹介が終わる。

「藤野美桜です」

顔を上げると、YUTAROくんがこっちを見ている。
頭が真っ白になる。

「……よろしくお願いします」

私には、言えるような趣味も特技も無い。
つくづく、自分ってつまらないと思う。

「藤原拓海です」
「出身は神戸で、趣味はバスケです」
「よろしくお願いします」

……YUTAROくんと出身一緒だ。

YUTAROくんのことを考えてるうちに、全員の自己紹介が終わる。
履修登録のことや、4月からの授業のこと、説明が終わって解散になる。

「ねえ、美桜って呼んでいい?」
前の席の金髪の子が声を掛けてくる。

「……うん、いいよ」
チラッと名簿を見て確認する。
「私も、莉子って呼んでいい?」

「いいよ。ねえ、一緒に履修登録しよ」
「説明、全然分かんなかった」

「うん、私も」

「じゃあ明日また学食でどう?」

「いいね、明日会おう」

LINEを交換する。

……友達、できちゃった。