近くにいるための嘘

呆然としていると、時間ギリギリなことに気が付く。

……やばい、行かなきゃ。

教室に入ると、五十音順で席が決められている。

YUTAROくんは、1番前の席。
……朝倉、だもんね。

え、じゃあ、やっぱり。
ほんとにほんとにYUTAROくん??

心臓の音がうるさい。
こんなん、YUTAROくんにまで聞こえちゃう。

咄嗟にトレカを鞄の奥に隠す。

あ、スマホのロック画面、見られたら終わる。

「全員揃ったな。オリエンテーションを始めます」
「じゃあ、まずは1人ずつ自己紹介するか」

「出席番号1番の朝倉から」

「朝倉悠太郎です」
「出身は兵庫で、特技はダンスです」
「よろしくお願いします」

皆が拍手する。
慌てて私も拍手をする。

名前も、出身も、ダンスやってることも、YUTAROくんと同じ。
……じゃあ、ほんとに、YUTAROくんだ。