本好きで恋愛苦手な私が推し小説家に溺愛されるまで

「……ら、藍堂鷹司!?」

 私が一番好きな小説家と同姓同名!?
 でも、こんな珍しい名字で被ることある!?
 私は勢いよく顔を上げ、答えを求めるようにアズライトさんを見つめた。

「ハンドルネームのアズライトは日本語で藍銅鉱。名字をもじってつけました」
「ああ……!」

 その一言で、私は彼が藍堂鷹司本人だと確信した。
 藍堂鷹司は鉱物が好きだと古いインタビュー記事で読んだことがある。それにもじり方が、登場人物の名前の付け方に似ているのだ。

「栞さんは私のことを同好の士だと思っていてくれたのに、本人だと隠していてすみません」
「いえ! それはしょうがないですよ」

 アズライトさん――藍堂先生が申し訳なさそうに言うので、私は食い気味に反論した。
 作家本人だと自己申告するわけに行かないよ。もし、コメントで藍堂鷹司ですって打ち明けられたとしても、絶対信じられないし。
というか、私こそ本人と知らずに失礼なことを言ってないか心配になってきた。

「ところで、藍堂先生の方が年上ですし、私の雇用主になるわけですから、敬語ナシでお願いします……!」

 私がしどろもどろに言うと、藍堂先生は微笑を浮かべた。

「ありがとう、お言葉に甘えさせてもらおうかな。堅苦しいのは苦手なので助かる」

 だよね。藍堂先生が敬語で話すのが苦手っていうのも、以前読んだ記事で知っている。