本好きで恋愛苦手な私が推し小説家に溺愛されるまで

 つまり、めちゃくちゃイケメン。なんだかオーラもあるし何者……!?
 混乱して固まる私をよそに、アズライトさんが静かに立ち上がる。

「栞さんですね?」
「あ、はい、そうです……」
「初めまして、アズライトです」

 すごい。イケメンって、声もかっこいいんだ。
 平均より背が高く、モデルのような佇まい。アズライトさんが会釈をしたので、私も軽く頭を下げた。
 どう考えてもただ者じゃないでしょ……!私が芸能に詳しくないだけで、有名な俳優さんとかモデルさんだったりする?

「し、失礼いたします……」

 私は平静を装って、アズライトさんの向かいの席に腰を下ろす。
 案内してくれた店員さんにカプチーノを注文するとすぐに個室から出て行った。二人きりになり、沈黙が流れる。

(どうしよう、どう話せばいいの……!)

 ただでさえ同世代の男性と話すことは苦手なのに、こんなにイケメンなんて。緊張で手が震える。
 アズライトさんが若い男性である可能性を想定していなかった私が悪いのだけれど。
 でも、もし若い男性かもしれないと思っていたら、会う選択をしてなかったな……。

「若い男だと警戒しますよね。こちらが私の身分証明書です」

 アズライトさんは私の心情を見透かしたように言った。私は「いえ、そんな……」と曖昧な返事をしながら、アズライトさんが差し出したものを見つめる。
 それは運転免許証。
 目の前にある端正な顔と同じ写真が載っている。その上に記載された名前を読んで、私は目を見開いた。