本好きで恋愛苦手な私が推し小説家に溺愛されるまで

 朝、いつものように出勤すると、帰る前に片付けたはずなのに社内は雑然と荒れていた。
 社長の机の上には、一枚のコピー用紙。書かれている一文を読んで私は思わず「え?」と声を洩らした。


 みんな、逃げてごめん


「これってーー」

 ドラマとかでしか観たことがないシチュエーション……まさか。

「碓水さん、おはよう。どうかした?」

 上司の佐山さんに背後から話しかけられ、震える手で紙を持ち、振り返る。

「社長が失踪したみたいです……」
「はぁあーっ!? 失踪!?」

 佐山さんの大声で、出勤して来た社員達が何事かと集まる。佐山さんは私が言ったセリフをそのまま皆に伝えた。

「ええっなんで!?」
「どこに言えばいいのよ……けっ警察!?」
「給料ってどうなんの!? ってか、社宅追い出される!?」

 青天の霹靂な状況に、皆パニックに陥った。