本好きで恋愛苦手な私が推し小説家に溺愛されるまで


 マンションに戻った私は、玄関横の洗面所で手を洗い、そのまま個室に。

(今夜はここで寝るんだから、布団の準備をしとこ)

 備え付けの収納棚から、布団と布団乾燥機を取り出す。
 すると、未開封の新品のシーツも見つけたので、それを使わせてもらうことにした。
 布団乾燥機をセットして、私はキッチンに戻った。

◇◇◇

「……これで完成!」

 小声で独り言を言ってから、出来上がった料理を見下ろす。
 おにぎりの具は鮭ハラス、豚肉の生姜焼き、梅干しの三種類。
 卵料理は出汁巻き卵、野菜たっぷりの味噌汁、きゅうりとワカメの酢の物。
 お茶は、あたたかい麦茶。

 私はそれらをお盆に載せて書斎に持って行った。

 静かに書斎のドアを開けると、机に向かう藍堂先生の背中が見える。
 私は横のワゴンの上に視線を移した。マグカップの中身は綺麗に空だ。

(蒸しパン、食べてくれたんだ)

 私は嬉しさでにやけそうになるのを抑えながら、蒸しパンのマグカップを片付けて代わりに夕飯を載せた。