今に至るまでも…色んな事があった。

お母さんは私を1人にする時間をなくすように
昼だけの仕事に変えて、帰る時には必ず家にいるようになった。

世間やメディアを騒がせた誘拐事件で、
私は"唯一の生存者"として好奇の目に晒される事も多く、早々に引っ越しもした。

トラウマは残っているけど、
いつか必ず克服出来る…そう信じているけど

でも…実はまだ、あの誘拐事件の犯人は
未だ捕まっていない。

あの時に過ごした山小屋も
私が保護された後に警察が入った時には誰もいなかったそうで…

連日続いた警察の懸命な捜索の末に見つかったのは、誘拐された時に少しの間一緒に山小屋で過ごした私以外の5人の女の子の無惨な遺体…。

遺体は山の奥の井戸の中に入れられていたそうで
首を絞められた子もいれば、何ヶ所も身体を刺されていた子もおり…遺体の損傷が激しく、身元を特定するのに時間がかかったそう。

女の子達の家族は皆…悲しみに暮れていた。

"どうしてよっ…!!"
"マリちゃんを返してっ…!!"

泣きわめく少女達の家族の声が警察署内に
鳴り響いていた。


お母さんも私も被害者だけど…

"なぜ、あの子だけ生き残ったのか"
"生き残りの少女と犯人のまさかの関係!?"

嘘の事をネットを使って面白おかしく書く人や
家に押し掛ける心ない人達も現れて

私達の生活は事件の事を忘れさせてはくれず
心は…どんどんすり減っていっていた。