好きになった人は、みんなのアイドルで

悠太郎くんと、11時に駅で待ち合わせ。
スマホを見るとまだ6時。
楽しみと緊張が混ざって、朝早く目が覚めてしまった。

珈琲を入れてトーストを焼く。
(……何着てこう。髪は?どんな格好していこう)

ーー
結局迷ってシンプルなニットワンピースを着て
髪はハーフアップにした。
(……変じゃないかな)
電車の窓に映る自分を見て、何度も前髪を直す。

ーー
駅に着くと、悠太郎くんはもう来ていた。
いつもはラフなパーカーなのに、今日は綺麗目のニット。
(……かっこいい)
イヤホンで音楽を聞いてるのか、小さく体が動いている。

「あの人、かっこいーね!」
「ほんとだ、かっこいい。芸能人かな」
悠太郎くんを見ながら女子高生が話している。

(私ね、今からあの人とご飯食べに行くの。)
へへっと誇らしいような気持ちになってから、
……悠太郎くんの隣、私なんかじゃ釣り合わないよね、って現実に戻る。

悠太郎くんがこっちを見る。
イヤホンを片耳外して手を振る。
「紬ちゃん!」
小走りで駆け寄ってくる。

その姿を見て、なんだか泣きそうになった。
……今日も、私の好きな人は発光していた。