好きになった人は、みんなのアイドルで

「ほんとに大丈夫?」
「……うん、大丈夫」

私に合わせてゆっくり歩いてくれる悠太郎くんが優しい。
……優しいから、辛い。

「ちょっと休んでから帰る?」
小さく頷くと、駅の少し奥まったベンチに連れて行ってくれる。

「お水買ってくるよ」
立ち上がる悠太郎くんの袖を掴んで咄嗟に引き止める。
「ん?どした?」
「……いらない、大丈夫」
分からないけど、ただそばにいてほしかった。

「ご飯ちゃんと食べてる?痩せたんじゃない?」
悠太郎くんは、私のことを見てくれていた。
なんて答えたらいいのか分からなくて俯くと
「今度、なんか美味しいもの食べに行く?何が好き?あ、紬ちゃんはパンが好きか」
と悠太郎くんが話し出す。

え……?今、食べに行くって言った?私と?
思わず顔を上げると
「やっと目が合った」と悠太郎くんが笑う。

「何が好き?」って優しい顔で悠太郎くんが聞くから
「……オムライス」って小さな声で呟く。

「分かった、オムライスね、調べとく。」

涙が出た。
何の涙か分からないけど、泣き始めたら止まらなかった。
「うん」「ごめんね」「オムライス食べに行こうね」
って、悠太郎くんが優しく背中をさすってくれた。