好きになった人は、みんなのアイドルで

ーー悠太郎サイド

学食に入ると紬ちゃんがいる。

「紬ちゃん、おつかれ」
「あ、悠太郎くん……またね」
目が合わない。
表情に元気が無い。顔色も悪い。……しかも痩せた?

紬ちゃんが学食を出て行こうとする。
(お願い、待って)
「紬ちゃん」
思わず腕を掴んでいた。
「紬ちゃん、ごめん、俺のせいなら、話して」

掴んだ腕を振り払われる。
「……っ、ごめん」
紬ちゃんが走って行く。泣いているように見えた。

振り払われた手もそのままに呆然と立ち尽くす。

「とりあえず座ろ、な」
蓮が話し掛けてきて我に返った。
周りにチラチラ見られている。

(やっちゃった……)

一瞬のことだけど、
俺が学食の入口でそんなことをしてたら
注目されることくらい分かっていたはずなのに。
また、紬ちゃんに嫌な思いをさせてしまった。

紬ちゃんとまた話したい。
それだけなのに、どうしたらいいのか分からなかった。