好きになった人は、みんなのアイドルで

学祭の後、美桜ちゃんのグループから
あからさまに敵意を向けられるようになった。

「ねー、ああいう子無理」
「人の推し狙うとか、どういう趣味してんの」
「言い過ぎだよぉ」
クスクス笑いながら通り過ぎられることも増えた。

……怖い。
視線が、笑ってる声が、
全部私に対するもののような気がする。

……食欲無いかも。
頼んだ定食を食べきれずに箸を置く。

外を見ると悠太郎くんが
たくみくんとれんくんとバスケをしている。

「悠太郎くんだ!かっこいいよね!」
「ねーかっこいい!」
「でも狙ったらダメらしいよ」
「なんで?」
「経済の女の子たち、協定組んでるから。嫌がらせされるらしいよ」
「なにそれ、こわっ」
「こわいよねー!」
隣のテーブルの女の子たちが楽しそうに話している。

……出よ。ここにいるの、無理。
人の多いところにいるのがしんどくて、席を立つ。

たまたま好きになった人が、皆のアイドルだった。
それだけで、こんなに苦しい。
どうして?好きでいちゃいけない?
次に悠太郎くんに会ったら、どんな顔したらいいんだろう。
考えただけで、胸が苦しかった。