好きになった人は、みんなのアイドルで

学食に行くと、悠太郎くんが友達と喋っていた。
私に見せる顔とは違って、もっとリラックスした笑顔。
……私も、あんな顔見たいな。

近づいていくと悠太郎くんが手を振る。
「紬ちゃん、待ってたよ」
(……待ってた?……あ、パンだよね、パン)
「お待たせ、先輩もパンくれたから一緒に包んできた。あ、お友達もすみません。付き合ってもらって」
「つむぎちゃんのパン、食べてみたかったから嬉しいです。」
「誘ってもらって、ありがとうございます」
「こっちが拓海で、こっちが蓮ね」
「はじめまして、紬です」
なんか、友達を紹介してもらうのって、照れる。

「お噂はかねがね」
「ばか、拓海、余計なこと言うなよ」
なに?私の話、友達にしてるの?……ねえ、どんな話。

「あ、パンなんですけど、こんなに食べれます?」
自分のパンと先輩のパンが2個ずつ入った袋を出す。
「食べます食べます!」「喜んで!」
れんくんとたくみくんが口々に言う。

「なんなら今1個食べていい?」悠太郎くんが言う。
「うん、いいよ。むしろ感想聞けたら嬉しい。」
「やった、いただきます。どっちが紬ちゃんのパン?」
「こっち」
「じゃあ、こっちから食べよ」

3人で私のパンを食べてくれる。
「うまっ」「やばっ」「パン屋じゃん」

「褒めすぎ。でも、ありがとうございます」
「まじで美味いよ、やばい、語彙力無くなる」
悠太郎くんの笑顔の方が、やばい。……嬉しい。

「あ、先輩のも食べてみて。私のよりも美味しいから」

「わ、これもうまっ」「やばいね」「パン研クオリティ高いな」

「まじで美味かった、ありがとうございます」
れんくんが言ってくれる。
「やばい、また食べたい」
たくみくんも。

「学祭でこれ売るので、良かったら来てください」
「行く行く」「絶対行く」と言ってくれる。

「あ、じゃあ……他の人にもパン持ってくので」
「うん、紬ちゃんまたね」
「食べてくれてありがとうございました!悠太郎くん、またね」

手を振って学食を出る。
知らない人と話すの、緊張した。
でも、悠太郎くんのお友達、良い人達だったな。
パンを美味しいって食べてくれたことも嬉しかったけど
それ以上に悠太郎くんの友達を知れたことが嬉しかった。