好きになった人は、みんなのアイドルで

大学の調理室。
「紬ちゃん、こんなたくさんパン焼くの初めてでしょ」
「初めてですー!緊張します!」
「学祭はね、地獄だよ。しばらくパン焼きたくなくなる」
「え、どうしよう。パン焼くの嫌いになりたくない」

笑いながら先輩と二人でパンを焼く。

オーブンから取り出すと、パンの良い香りがする。
「わ、ちゃんと焼けてる」
「食べてみる?」
「はい!」

先輩のデニッシュ食パンをちぎる。
ふわふわで甘い香りがする。
「先輩のパン、めちゃくちゃ美味しいです」
「紬ちゃんの塩パンも美味しいよー」

やったね、上手く焼けたね、と二人で喜ぶ。

「これどうするの?」
「あ、友達に配ります」
「私のパンも一緒に持ってく?」
「え!ありがとうございます!じゃあ一緒に包みます!」

持ってきていたラッピング袋に包む。
「じゃあこれは、先輩の分です」
「ありがと、友達に喜んでもらえるといいね」
「ありがとうございます!」
「当日も頑張ろうねー」
「はーい、また」

片付けをして調理室を出る。
早く悠太郎くんに食べてもらいたい。
気が付いたら走り出していた。