好きになった人は、みんなのアイドルで

ーー悠太郎サイド

よし、今日はいる。
紬ちゃんがいることを確認してドアを開ける。
「いらっしゃいませー!」

「紬ちゃん、おつかれ」
「おつかれさま、悠太郎くん」
紬ちゃんは、目を合わせてくれない。

「アイスカフェラテお願いします」
「かしこまりました」

このままじゃ嫌だ。
……嫌われたのかもしれないけど、それでも。

「……今日、バイト何時まで?」
意を決して聞く。
戸惑ったような表情を見せる紬ちゃん。
「……22時」
「一緒に帰ろ。待ってるから」
紬ちゃんの表情には気付かなかったふりをする。
「うん……ありがと」

カフェラテを作る背中に心の中で話し掛ける。
(ごめん、俺、何したか分かんなくて)
(俺のこと……嫌いになった?)

「お待たせしました、アイスカフェラテです」
「ありがとう」
一度合ったはずの目はすぐに逸らされる。

それからの1時間が長かった。
嫌われた理由をあれこれ考えて、でも答えは出なくて。
紬ちゃんの口から聞きたい。
……例え、嫌われていたのだとしても。