好きになった人は、みんなのアイドルで

カランカラン。ドアが開く。
「いらっしゃいませー!」
悠太郎くんが来る。

避けちゃったこと謝りたかったけど、
昨日はシフト入ってなかったから、あの後初めて会う。

「紬ちゃん、おつかれ」
「おつかれさま、悠太郎くん」
なんだか、少し気まずい。

「アイスカフェラテお願いします」
「かしこまりました」

「……今日、バイト何時まで?」
話そうとしてくれている。嬉しい。けど。
少し悩んで答える。
「……22時」
「一緒に帰ろ。待ってるから」

まだ21時を過ぎたところ。
いつもなら30分くらいしかいないのに。
なんで、なんでそんなに、私と。

「うん……ありがと」
小さく答えて背を向ける。カフェラテを作る。

「お待たせしました、アイスカフェラテです」
「ありがとう」
いつものように目を見て言われる。
まっすぐ見返す自信が無くて目を逸らす。
(……またやっちゃった)

席に向かう悠太郎くんの背中が少し落ち込んで見える。
(私のせいだ……ごめん)

一緒に帰る時、ちゃんと話せるかな。
でも、どこまで……
同じように悠太郎くんを好きなだけの女の子たちを、悪くは言いたくない。
でも、悠太郎くんには昨日の態度謝りたい。
なんであんな態度取っちゃったのか、全部話したい。
……ううん、やっぱり言えない。

何を言っても悠太郎くんを困らせるだけのような気がして、
このまま何も言えない気がした。