好きになった人は、みんなのアイドルで

「初日から一限って鬼じゃない?悪魔!死神!疫病神!」
一限に怒ってる栞が面白い。
「仕方ないじゃん、必修だし」
「必修が一限とかありえない。こっちは夏休みでしっかりだらけてるっつーの」
「まあまあ、お昼行こ」

混んではいるけど、空いてる席もちらほら。
注文したパスタを持って空いてる席に向かう。

見慣れた金髪が見える。
どこにいても、見つけられるようになっちゃった。
「お、紬ちゃんおつかれ」
「悠太郎くん、おつかれさま」
「……パン以外も食べるんだ(笑)」
「当たり前でしょ、からかわないで」
「ごめんごめん」
大学でも普通に話せる。
……と思ったけど、周りの女の子の視線が痛い。
悠太郎くんと私じゃ、不釣り合い、だよね。

本当はもう少し話したかったけど。
視線の痛さに耐えられない。
「じゃ、私行くね」
「ごめん、引き留めて。ばいばい」
「またね」

午後の授業も頑張れそうな気がする。
……けど、やっぱり大学で話し掛けるのはやめた方がいいのかな。

「すっかり仲良しじゃん」
ラーメンを啜りながら栞が言う。
「そうかなあ」
パスタを巻きながら呟くと
「うん、前期とは全然違う。空気感がもうね、仲良しだった」
栞が真剣な顔で言ってくる。
「……そうかなあ」

そりゃ、夏休みいっぱい一緒に過ごしたもん。
……思い出して、顔が熱くなる。
「なに、思い出してんだか」
栞のツッコミを聞きながらパスタを食べた。