好きになった人は、未来のアイドルだった

大学生になって、カフェでバイトを始めた。
覚えることが多くてまだ慣れない。

その日も同じような一日になるはずだった。
ドアが開く音がする。
「いらっしゃいませー!」

ドアの方を見ると、え……ゆうたろうくんだ。
(え、え、なんでゆうたろうくんが来るの?)
(大学の最寄りじゃないのに……)
(もしかして、家この近くとか?)

悠太郎はレジに来ると付けていたイヤホンを片耳外して
「アイスカフェラテお願いします」と注文する。

「かしこまりました!」
声が上擦った気がする。
やばい、変な店員だと思われたかな。

「お待たせしました、アイスカフェラテです」
アイスカフェラテを差し出すと、ゆうたろうくんと目が合う。
「ありがとうございます」
小さな声で、目を見てお礼を言ってくれる。
(……今日はほんとに目が合ってる)
カフェラテを受け取ると席に向かうゆうたろうくん。

触れたわけでもないのに、指先が熱い。
ただの店員と客なのに。
ただ、カフェラテを渡しただけなのに。

ゆうたろうくんは席に座ると
またイヤホンをつけてノートに何かを書いている。
ラフなパーカーにスウェットのズボン。
……なのにやっぱり発光して見える気がする。
今日も、そう見えた。……理由は分からないけど。