好きになった人は、未来のアイドルだった

学食で栞を探す。
「紬!こっち!」
「あーごめんごめん」
近づいていくと、少し後ろに、ゆうたろうくん。
一瞬足が止まる。

目が合うと、会釈してくる。
慌てて私も会釈する。

「だれ?知り合い?」栞が振り向く。
会釈した相手が悠太郎だと分かると、栞が身を乗り出して聞いてくる。
「……え、なに、そんな関係になったの?」
「いや、こないだ、カフェでちょっと話して……」
「やったじゃん!推しに認知されたね」
「だからそういうんじゃないってばあ……」

そういうんじゃないと言いつつも、ついそっちを見てしまう。
やば、目が合った。
……目が合ったゆうたろうくんは、少し笑って見えた。

ーー悠太郎サイド
いつもの友達ふたりと学食。

ふと顔を上げると、視線の先にあの子がいた。
(あ……カフェのあの子だ)
すぐ近くの席に友達がいたらしい。

目が合う。
慌てて会釈する。
あの子も会釈してくる。

「なに?知り合い?」
「かわいい子じゃん」
2人が聞いてくる。
「よく行くカフェの店員さん。同じ大学だって分かったから」
「ふーん、気になってんの?」
「ばか、そういうんじゃないよ」
「悠太郎はモテるのに彼女作らないもんな」
「それは、」
「わーかってるって。アイドル目指してるからだろ。スキャンダルはご法度。」

そう、俺はアイドルを目指している。
だから彼女とかはいらない。 そう思ってるけど。

ちらっとあの子を見ると、友達と楽しそうに笑ってる。
(へえ、あんな顔して笑うんだ)
その笑顔が、妙に印象に残った。