好きになった人は、未来のアイドルだった

「いらっしゃいませー!」

ゆうたろうくんが来ると少し緊張する。
まあ、どのお客さんでもまだ緊張するけど。

いつものように悠太郎がイヤホンを片耳外す。
「アイスカフェラテお願いします」
「かしこまりました」

カウンターでカフェラテを渡すと
「こないだ、すみませんでした。ありがとうございました。」とゆうたろうくん。
待って、え、話し掛けられた。
「え、あ、全然大丈夫です。よくありますよね。私もよくこぼして怒られます」
緊張して余計なことを口走ってしまう。

「あの……こないだ学食で見かけたんですけど、同じ大学ですよね……?」
え。時間が止まる。
ゆうたろうくんに、認知されてる。
「あ、俺も明陵大学なんです、すみません、突然声掛けて」
「え、あ、同じ大学なんですね」
なんで知らないフリしちゃうの私。
「じゃあ……」
少し気まずそうに席に向かうゆうたろうくん。

違う、もっと上手く話したかった。
(なんで知らないフリしちゃったんだろう)
(……もっと話してみたかった)