君だけのジミニー・クリケット

 砂利道を踏みしめるたび、乾いた音が虚しく響く。

 彼女の指さす先には、陽炎に揺れる一本道がどこまでも続いていた。

「……本当に、こっちなのかな」

 不安になる呟きは、熱を帯びた風にさらわれ、僕の耳に届く頃には消え入り無くなってしまう。

 今はただ、隣を歩くことしかできない。
 彼女が進むべき道を見守る「影」でしかなかった。

「はあ。はあ」と息を切らし、彼女は暑さで辛そうに顔を歪ませると。

「大丈夫?」という、僕自身の不安を埋めるための問いかけに。彼女は「暑い」とだけ、言葉を返した。

『悲しく』こぼしたその一言は、これから直面する現実への拒絶のようにも聞こえてしまう。

 僕はただ、彼女の肩に落ちる容赦ない陽光を、代わりに受けることさえできない自分の影を呪った。

 これからの展開や、これからの結末が、僕には何となくわかっていた。
 だけど彼女が『求めること』ならばと、協力してあげたかった。

 僕は駄目な『ジミニー・クリケット』だ。