窓の外、陽炎の向こうに、古びた赤錆だらけの停留所の看板が見えてくる。
車内のアクリル板にランプが点くと、彼女は「ここだ」と自分に言い聞かせるように呟いた。
古びた木製の床を鳴らし、誰もいない停留所に降り立つ。
走り去るバスは、けたたましい排気音を撒き散らしながら、冷酷に二人を置き去りにしていった。
どちらの方角へ進めばいいのかもわからず、まるで世界に取り残された子供のような心細さ。
再び襲いくる夏の日差しと、静寂。
一本道の砂利道からは砂埃の匂いが立ち上り、陽炎が手招きするように揺れている。
蝉の鳴き声までもが、悲しく聞こえてしまうーー。
メモを広げ、見入る彼女の隣へ。
覗き込むようにして、行き先を確認する。 指をさし「あっちだね」と告げる声に、確信はなかった。
それでも「うん」と頷き、一歩を踏み出す。
砂埃が鼻をつき、喉の奥がじりじりと渇く。
その感覚を堪えて振り返ると、降り立ったはずの停留所は、すでに夏の光の中に溶け、白く消えかけていた。
もう、引き返すことはできない。ここは「彼女の物語」の真っ只中なのだ。
車内のアクリル板にランプが点くと、彼女は「ここだ」と自分に言い聞かせるように呟いた。
古びた木製の床を鳴らし、誰もいない停留所に降り立つ。
走り去るバスは、けたたましい排気音を撒き散らしながら、冷酷に二人を置き去りにしていった。
どちらの方角へ進めばいいのかもわからず、まるで世界に取り残された子供のような心細さ。
再び襲いくる夏の日差しと、静寂。
一本道の砂利道からは砂埃の匂いが立ち上り、陽炎が手招きするように揺れている。
蝉の鳴き声までもが、悲しく聞こえてしまうーー。
メモを広げ、見入る彼女の隣へ。
覗き込むようにして、行き先を確認する。 指をさし「あっちだね」と告げる声に、確信はなかった。
それでも「うん」と頷き、一歩を踏み出す。
砂埃が鼻をつき、喉の奥がじりじりと渇く。
その感覚を堪えて振り返ると、降り立ったはずの停留所は、すでに夏の光の中に溶け、白く消えかけていた。
もう、引き返すことはできない。ここは「彼女の物語」の真っ只中なのだ。



