君だけのジミニー・クリケット

 途絶えた音に代わり、再び蝉の鳴き声が耳鳴りのように包囲し始める。

(なんて……残酷なのだろう)

 彼女が消えた後の空白の地面を見つめたまま、僕はその場に釘付けになっていた。

 空はパノラマのように回り始め、現実感が足元から崩れていく。
 自分が何を願い、何に対して祈っているのかさえ分からない。

 ただ、熱い空気を深く吸い込むことしかできなかった。

 永遠にも思える空白の後、砂利をこする力ない足音が聞こえ、ようやく現実に引き戻される。  

 振り向くと、そこには眩しすぎる陽光を背負い、輪郭を白く滲ませた彼女が立っていた。

「……お待たせ」

 その一言に、先ほどまでの熱量はない。
 ただ静けさだけを薄い衣のように羽織った彼女。

 その立ち姿だけで、望んだ結末ではなかったことを、僕は残酷なほどに理解してしまった。