探偵の日記 村田連続殺人事件

 日が経ち、招待されていたパーティの日がやって来た。
 以前教えられていた場所に行き、インターフォンを押すと以前会った南とは違う男の人が出てきた。
 それにしても大きな家だなと思う。都内から少し離れた、長野の山奥にこんなとこがあるなんて。でもやっぱり冬だから寒い。
 家の前には、手入れされた広大な芝生が広がり、庭の隅にはプールがあり、水面が太陽の光に反射し、キラキラと光っている。
「ようこそいらっしゃいました。こちらで働いております、小林誠です。本田様と今井様でお間違えないですか?」
 この大きな家の主の村田の使用人であろう人がそう言った。シャツに皺はなく、四角のメガネをかけた彼は真面目な雰囲気をまとっていた。
「はい。本日は招待していただきありがとうございます。今井と本田です。」
 隣で美空が私の代わりに答えた。私は代わりに少しだけ会釈した。
「こちらこそお越しいただき、誠にありがとうございます。それではご案内します。こちらへどうぞ。」
 はい、と私たちは言い小林の後を着いて行った。長い廊下を通り、大きな部屋に案内された。
「こちらで本日の生誕祭を行います。奥にいらっしゃるのが麻夏様で、その隣にいるのが先日お尋ねさせていただいた南です。左側の席に座られているのが、中学校からのお友達で松岡莉奈様と佐藤蛍斗様です。他に村田様の会社のお知り合いの方達がもうすぐいらっしゃる予定です。お二人様は右側の席におつきください。」
「分かった。ありがとう。」
 そう言って私は大きな部屋に足を踏み入れる。
 扉から向かって正面に大きな丸い机が一つあり、そこに村田が座っている。その手前の左側にはまた大きな丸い机が二つあり、一つには中学生からの友達が座っていて、片方はまだ空いていた。多分、そこに会社の知り合いが座るんだろう。右側には一つだけ大きな机があるから、そこが私たちの席なんだろう。
 とりあえず私たちは顔を見合わせ、村田に挨拶することにした。村田は隣にいる南と笑いながら会話をしていた。ちょっと邪魔するのも悪いなと思ったけれど、美空の背中を押し出した。
「こんにちは。招待させていただいていた今井と本田です。本日は招待していただきありがとうございます。」
 そう美空が言い、私たちは頭を少しだけ下げた。
「あ、本田さんと、今井さん!来て下さったんですね、ほんとにありがとうございます。」
 目をキラキラ輝かせ、嬉しそうにそう言った。村田は隣にいた南に目配せをし、南は礼をしてどこかへ行った。
「こちらこそ、招待してくれてありがとう。」
 私はそう言った後、聞きたかったことを聞くことにした。
「それで殺されるかも知らないってどう言うことなの?」
 私は小さい声で聞いた。さっきまで笑顔だった表情が真面目な顔になった。
「それについては後で話す予定です。一旦席に着いて、楽しんでて下さい。」
「そう。分かった。じゃあ。」
 そう言って私たちは村田から離れ、他の席の人たちにも挨拶することにした。
 周りを見回すと、いつの間にかさっきまで来ていなかった二人が来ており、全員が集合していた。とりあえず松岡と佐藤に挨拶することにする。

「こんにちは、今井と本田です。」
 美空は二人に話しかけた。
「こんにちは、俺が佐藤で、こっちが松岡です。」
 奥側に座っていた佐藤がそう答えた。
「二人は中学校からの友達って聞いたんだけどそうなの?」
「はい、私と麻夏は中学校に入って、一番最初に仲が良くなった友達通しなんです。」
 今度は松岡が答えた。明るくハキハキと話す彼女だからこそ、村田と仲が良くなったんだろう。
「俺は元々麻夏と付き合ってたんです。中学校の3年間。ずっと同じ卓球部でね、でも中学校を卒業する時に、もう別れよって。」
「なのに、なんで今日来たの?」
「なんか松岡から聞いて、暇だから行こうかなって。」
 はあー、と私は首を傾げた。別れた元カノの誕生日パーティーにくるとかちょっと、いやだいぶ変わってる。話し方も少し変わってる彼と村田は確かに釣り合わないのかもしれない。
「ちょっと聞いてくださいよ。」
 なに?、なんですか?、と美空と声が被る。
「この佐藤はほんとに、すんごく、、、気持ちが悪いんです。なんてったって麻夏に15回も告白してるんですよ。そりゃもう付き合うしかないですよね。こんな気持ち悪いのと、麻夏が可哀想。」
 えっ、、、私は衝撃で絶句した。隣を見ると、美空も目を最大限に開いていた。
「もーほんと気持ち悪いですよね。どうして私こんな男連れて来ちゃったんだろう。」
 松岡はため息をつきながら、頭の髪の毛をかき回していた。あなたが連れてきたんでしょ。
 当の本人はと言うと、何を考えているのか分からない顔でニヤニヤとしていた。

 その後私たちは、村田と同じ会社で働いている山内と藤原に挨拶をし、私たちは席に戻った。
 山内はクールな性格をしていて、あまり人と仲良くする気はなさそう。逆に藤原は笑顔が絶えず、ニコニコと話していた。どうやら村田の彼氏らしい。佐藤とはだいぶ違うみたい。
「ねえ、瞳さん。なんだか眠くなってきましたね。」
 そう言って美空は手で覆いながらあくびをした後、机にだらっと横たわる。確かに私も少しうとうとしていた気がする。周りを見渡すと、他の客たちはもうすでに眠っていた。村田も佐藤もみんな...。
 何かおかしい。
 どうにか起こさなきゃと思ったけれど、なんだか眠く...。