片思いをする彼の瞳に片思いしてしまった私。そう、この恋は実らない。

「どうして私と婚約を?」
「言ったでしょう。俺はあなたをずっと見て来た。あなたが好きなんです」
「信じてもいいのですか?」
「もちろん」

 嘘みたいだ。
 貴族間の結婚なんて、愛のないものと諦めてきたのに……。

 手を伸ばすと、ルドウィックはもう一度私を抱きしめてくれた。
 離したくない。

 たとえこの独占欲が、醜いと思われたって。

「でも一つ」

 急にそう言いかけたルドウィックの顔を、私は見上げる。

 まだ何かあるというの?

「あのミレットという令嬢を覚えていますか?」
「ああ、コンラッドの」
「そうです。彼女をあなたの元へ行くようたきつけたのは、王女殿下の息がかかった令嬢たちですよ」

 その言葉に、またぽかんと開いた口がふさがらなかった。